管理人の腐った頭にご注意下さい。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 地下から這い上がっても帝愛で怪しい仕事を続けている一条と、そんな一条をどうにかしたいカイジの開店小説です。 カイジの部屋に二人で居ますが、一条とカイジは同居してません。 「なぁ、カイジくん。俺とキスしてみたくはないか?」 突然言われたその言葉に、俺は暫く押し黙ってしまった。 事の始まりは、俺が一条に安いビールを渡した事だった。 俺の家にそんなお高い酒が存在する訳も無いのに、一条はそのビールを見るや、色々と騒ぎ立てた。 内容は余り良い気分のする事じゃない。 そして一条は立ち上がると俺の部屋を出て、暫くすると一本のワインを買ってきた。 一条曰く、 「少なくともカイジくんが、二ヶ月は飲まず食わすで働かないと買えない代物」 らしい。 一度地下に落とされた一条がそんなワインを買えるなんて、どっから金が出てるのか。 まぁ、また帝愛と宜しくやっているそうだから、そっち方面で稼いでんだろう。 汚い金で買ったワインなのだ。 そう考えると、旨いらしいワインも飲む気が失せてくる。 ただそんな俺の感情は置いてけぼりに、一条は嬉々としてワインのコルクを抜いた。 ウチにワイングラスなんてある訳も無く、適当なガラスのコップにワインを注ぎ、一条は俺に突き付けた。 仕方なく俺が飲むと、一条もワインに口を付ける。 そうして、一条が主に飲み、そのワインの瓶を空にした頃だった。 あんな言葉を言ったのは。 頬を薄い桃色に染め、一条は得意げな顔をして俺を見る。 酔っ払いの戯れ言か。 それとも本気で聞いているのか。 どちらにしろ、酔いの勢いで言っているに違いない。 だが、ほろ酔い程度の一条に、下手な事は言えないのが正直なところだ。 確かに、一条は美人だ。 下手な女よりも断然綺麗で、髪も睫も長いし、唇も薄く綺麗な形をしている。 これで小柄だったなら、女と間違えても無理は無い。 だけど、やっぱり此奴は紛れもなく男で。 「何?どういう風の吹きまわし?」 一条が何の理由も無く、こんな事を言うとは思えない。 「質問返しはマナー違反だぜ。カイジくん」 今日の一条は、楽しそうに良く笑う。 それが機嫌の悪いサインや、嫌な事があった時のサインだなんて事は、普通の奴には伝わらないだろう。 「俺は、キスをしたいかしたくないか、それを聞いてンだよ」 だから要は、一条は今日、何か嫌な事があったって事だ。 でなけりゃ、俺にこんな事は聞かない。 「ちょっとくらい考えさせろよ」 出来れば答えたくなくて、そんな風に返事する。 したいと言えば怒るか、もしくは囃し立てるだろうし。 したくないと言えば、それはそれで怒りそうな雰囲気だ。 「カイジくん。君は馬鹿だなぁ。考えさせろだなんて、したいって言ってるのと同じだぜ?したくなきゃ、直ぐに拒否してみせるもんだ」 まぁ普通はそうだろうけど。 「迷うって事は、やろうと思えば出来る。それか、したいけれど言い出せない。そのどちらかだろう」 一条は小さくため息を吐き、数十センチ俺に近付いた。 元々小さいちゃぶ台を囲んでいたから、一条の顔と俺の顔は、本当に近くなる。 「カイジくんまで、俺の顔を許容範囲に入れてるとはな。幻滅したよ」 一条の手が、乱暴に俺の頬を掴む。 それでも、目と鼻の先まで近付けられた一条の顔は、やはり綺麗な顔をしていると思った。 「お前、男だもんな」 一条の手に押さえ込まれ、喋りにくいながらもそう言えば、一条は眉をピクリと動かす。 「当たり前だろ」 目を細めて、一条が呟く。 この、綺麗で女みたいな顔に、一条は今までどれだけ悩まされてきたんだろうか。 そりゃ有利に動いた事もあるだろうさ。 でも、その反動とも言える不利益は、普通の奴とは一画を引いているんだろう。 綺麗な顔ってのは、僻まれたり疎まれたりするモンだし。 帝愛に居るなら、売春だってあり得る。 何度此奴は、自らの身体を強要されたんだろうか。 「やっぱり俺、一条とキス出来る気しねぇや」 俺が言えば、一条は目を丸くする。 「どうした?いきなり意見を変えて……」 俺の言葉のせいか、爪を立て始めた一条の手をそっと握った。 「俺が、男だと再確認して萎えたか?」 出来るだけ優しく、一条の手を一条の膝の上に持っていく。 「……それとも…」 一条の目が、強い光を放つ。 「俺の身体が、汚れているからか?」 やっぱり、ソレだ。 お前が言いたいのは、吐き出したいのは、その部分。 「一条、俺は」 「そりゃそうだよな。いくら綺麗な顔してたって、今までどれだけの男のモノをくわえて来たか知れねぇ口に、キスなんかしたくないもんなぁ!」 今にも泣きそうな顔で一条は言う。 そうやって自ら遠ざけて、お前はどうしたいんだ? 少しでも軽くしたいのか? 相手から拒絶された時の傷を。 「違う。一条、聞け」 「何が違う!ふざけんな!」 声を荒らげ、一条は俺の胸ぐらを掴む。 憎らしげに、哀しげに俺を睨む一条は、すごく苦しそうで。 「俺は、お前を壊してしまいそうで、綺麗なお前を汚してしまいそうで怖い。だから、キスは出来ねぇんだよ」 図太そうに見えて、実は繊細な一条は、触れれば壊してしまいそうで、深いトコロに手を伸ばせない。 だが、きっとそれこそが、一条を傷付ける一つの原因でもあるのだろう。 「そんなの、嘘だ」 吐き捨てるように一条が言う。 「嘘じゃない」 「黙れ」 「一条……っ」 喋ろうと開いた俺の口に、一条が乱暴に唇を押し付けてきた。 その時に初めて見えた首筋の赤い印に、俺は今日の一条の態度の意味を知った。 そして同時に、一条がどうして欲しいのか、それも分かった気がした。 「カイジ」 縋り付くように、一条は俺を見る。 「俺を抱いてくれよ。カイジ」 上書き、とでも言うんだろうか。 掠れた声で言った一条は、瞳から一粒の涙を流す。 「一条…」 そっと手を伸ばし、一条の髪を撫でる。 すると、一条は俺の肩に頭を預けた。 一条の髪は艶があって、サラサラしていて。 こうして腕の中に納めてしまうと、本当に女みたいだ。 「いいのかよ。一条」 肩に手を伸ばせば、一条は小さく震える。 一条が抱いて欲しくても、俺はその先に行くのが怖い。 臆病。 そうかもしれない。 だけどやっぱり……。 「一条。俺は……」 俺が口を開けると、一条の肩が小刻みに震え出す。 そして、一条は勢い良く顔を上げた。 「バァ〜カ!何マジになってんだお前!」 目に涙を滲ませ、心底楽しそうに、一条は大声で笑う。 先程までの弱々しさも色気も吹き飛び、頬を紅潮させて笑い転げる様は、まさに酔っ払い。 「全部…演技かよ」 呆れて何も言えない。 「決まってんだろ!金にもなんねぇのに、お前なんかと寝るかよ」 金になりゃ、誰に抱かれようが気にしちゃねぇのか。 自然とため息が漏れた。 寝転がってまだ笑っている一条の首筋には、やはり赤い跡が残っている。 その跡は、金になったのか。 半分仕返しに、その首筋の跡を指で撫でてやった。 すると、一条はビクリと身体を震わせ、真っ赤な顔で俺を見る。 どうやら弱いトコロだったらしい。 「何だよカイジくん」 そう言ってくる一条も無視して、そこを指で撫で続ける。 「ちょっと待て!だめ…っカイジ!」 音立てて俺の腕を叩き、一条は急いで起き上がる。 顔は真っ赤で、瞳は潤ませ、唇は薄く開く。 その顔で稼いでいるのか。 そんな顔、俺以外には見せたくねぇのに。 拍手を送る PR |
カレンダー
プロフィール
HN:
宗雲
性別:
非公開
最新記事
(12/23)
(12/22)
(08/12)
(07/22)
(07/15)
(07/08)
(07/08)
(06/27)
(06/16)
(06/01)
カウンター
次は9000でリクエスト
P R
忍者アナライズ
アクセス解析
|