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の続きです。
今回は、事件編です。


ちょこっとコメレス

o様
感想ありがとうございます!
後、リクエストお待ち頂けるようで良かったです°ω°
これからもどうぞよろしくお願いします


12月27日1時代にコメント下さった方
はじめまして!
pixivの方の誤字の指摘、ありがとうございました!気付かずにいたので助かりました^ω^






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時計を見れば、針は三時を差している。
指定された部屋に行けば、鍵が掛かっていた。
ノックをしても、返事は無い。
彼方から呼んでおいて、寝たという事は無いだろう。
ドアに顔を近付ければ、微かに血の臭いがした。



「何なんだよこんな時間に…」
突然ベッドから蹴りおとされて、驚いて起きれば赤木に引っ立てられた。
その上、説明も無しに付いてこいだと。
しかも走って従業員室まで行くと、お茶を飲んでいた村上って従業員に言った。
「306号室で、人が死んだかもしれない」
そこで初めて起こされた理由を知り、村上と共に目を見開いた。
「どういう事だ!306号室って言えば…それは」
「鍵、出して」
混乱している村上に、赤木は冷静な声で言う。
それで村上も取るべき行動を察したのか、急いで鍵の入った箱を出す。
「あれ…?鍵、どこに行った?」
箱自体にも鍵が掛かっており、それを開ける鍵を引き出しから探している。
だが、見付からないようだ。
「おかしい。いつもここにあるハズなのに…!」
そうして引き出しをひっくり返している横で、赤木が箱を睨み付けていて、俺は嫌な予感がした。

「壊す」
止める間もなく、赤木は箱を床に叩き付けた。
元々が、木で出来た柔らかい箱だ。
床には、無惨に割れた箱と、ばら蒔かれた鍵が転がった。
文句を言うかと思った村上も、この非常時に構っていられないのか、すぐに鍵を探し出す。
「駄目だ…無い!」
一緒に探してみるが、306と刻まれた鍵はここには無い。
「壊して良いか…」
赤木が再び物騒な事を言ったと思えば、次には駆け出していた。
その後を村上と二人で追うも、追い付く頃には赤木がドアに蹴りをかましていた。
「カイジさん。タックル」
俺が殺されるんじゃないかって目で睨んでくるから、素直に村上と組んでドアにタックルすると、肩に痛みを伴いながらもドアが開く。
真っ暗な部屋の中、赤木が平然と電気のスイッチを押し、奥へと入っていく。
微かに、血の臭いがした気がした。

「カイジさん。おいで」
出来ることなら入りたくないが、赤木の後ろに続く。
村上も、その後ろに付いた。
バスルームは異常無い。
奥の部屋に入ると、ツンとした生臭い臭いが鼻を抜ける。
見たくない。
出来れば、電気を点けず、このまま帰りたい。
そう思っても、赤木はスイッチを入れた。
「うっ…!」
口元を手で覆い、上がってきた少量の吐瀉物を飲み込む。

リビングに当たるこの部屋の中央。
高級そうな絨毯に血を染み込ませ、横たわった死体がそこにはあった。
その背中には、ナイフが突き刺さっている。
「うぅ…っ」
村上は嘔吐くような声を出し、正面の窓の鍵を開け、窓を開く。
吐いてはいないようだが、この臭いをどうにかしたかったのだろう。
「死んでる…か…」
その間に、赤木は死体の脈を確認していた。
「それ、誰なんだ?何でお前は…」
俺が喋っている内に、赤木は死体の顔を除きこむ。
よく平然と出来るもんだ。
「黒崎だ…俺はコイツに呼ばれただけなんだがね」
平気で死体の頭を叩く赤木に、目眩がした。

「館長…!」
更に奥の部屋から村上の叫び声が聞こえて、二人で入ると、そこはベッドルールだった。
中央に構えるダブルベッドには、白い光沢のあるシーツに映える黒髪が見える。
ゾクリと全身が鳥肌を立てるが、幸いシーツは呼吸と共に上下した。

「ん…」
濡れた睫毛を瞬かせ、黒い瞳が表れる。
まるで童話の様に遅い目覚めに身体を起こしたのは、一条だった。
何一つ身に付けず、間接照明の光に照らされた肌の色が艶かしい。
彼は姫なのか、魔女なのか。
俺には判断出来なかった。
「何だ…?何でお前達がここにいる…」
この戸惑った顔は、何の意味を持つのか。

「鍵、ここにあったのか」
赤木の視線の先には、二つの鍵が置かれていた。






死体を見た途端に悲鳴を上げて倒れた一条は、村上が従業員の仮眠室へ運んだ。
そのまま警察にも連絡するのだろう。
部屋に残った俺と赤木は、部屋の状況を確認していた。
この部屋の出入口は一つ。
鍵はベッドルームと、リビングに置いてあった。
多分一つはペンションが持つ鍵で、一条がここに来た時に使ったのだろう。
それ以外に出入りするとしたら窓からだが、ここは地上三階で、窓の外に立てる様な所は無い。
梯子でも使わない限りは不可能だ。
一応、部屋の中に他に人がいないか確認したが、いなかった。
黒崎の殺害されたリビングは、特に争った形跡は無い。
灰皿に残った葉巻は、黒崎のモノだろうか。
テーブルにはその灰皿の他に、ワインを飲んだであろうグラスが二つ。
黒崎と一条で飲んだのか。
どちらにしろ、黒崎と一条以外の誰かがいた痕跡は見当たらない。
一条が起きれば、何か分かるのかもしれないが。

黒崎の遺体はうつ伏せの状態で、背中にナイフが刺さっている。
「後ろからナイフで一突き…か…」
白いバスローブは、ナイフを中心に赤黒く染まっている。
「それにしても…この位置じゃ心臓に届いたって訳じゃなさそうだけどさ、苦しんだ跡は無いね」
そう言われてみれば、背中の中心に突き刺さっているナイフでは、良いとこ刺さって胃だろうか。
他に目立った外傷も無いが、これでは即死するだろうか。
もっと苦しんで、藻掻いたりするんじゃないだろうか。
想像して、目眩がした。

「自分が刺された訳じゃないのに…カイジさん見てて飽きない」
こんな時に何言ってんだ。
言おうと思って、止めておいた。
反応するから調子に乗るんだ。

「まぁ、一条さんがワインに睡眠薬か麻酔か何かでも入れて、朦朧としているところを刺したんでしょ」
赤木はポケットから煙草を取りだし、口に咥えて火を点ける。
「ちょっと待てよ…一条のあの様子見ただろ?一条は黒崎が死んだ事にさっき気付いたんだ。大体、人殺した後、あんな平然と同じ部屋で寝れるかよ!」
あの、悲痛な叫び声を聞いたハズなのに、何で赤木は、こんなにも非協力的なんだ…。
やろうと思えば、俺の何倍も頭がキレるクセに。
「人間ってのは不思議でね。殺人を犯した事で脳に強いスレトスがかかったら、自分が殺人を犯した事を記憶から消す事だって出来るのさ」
平然と、感情の無い声で言う。
「大体、状況を見れば、誰が一番容易く黒崎を殺せるかなんて、分かりきってるでしょ?」
開け放たれた窓に肘を掛け、赤木は煙草の灰を落とす。

「それでも…一条が犯人だとは思えない…」
出会ったばかりの、ただのペンションのスタッフに何を言っているのか。
自分でもおかしいとは思ってる。
けど、よく分からないけど、アイツが殺したとは思えないんだ。

「カイジさん…一条さんに惚れた…?」
赤木は熱の無い声で、冷たい目を此方に向けて言い放った。
「そう言う…話じゃ無いだろ…」
何で、否定も出来ないんだろうか。
好きだとか、惚れたとか、そんな事では無いと、分かっているのに。
「鍵は一条さんが持っていた。土の様子から見て、外には梯子を使った形跡は無い。二人分しかないワイングラス。動機だって、あの姿なら思い付かない事も無い…」
あの姿。
身に何も纏わず、素肌に赤い痣を拵えた、あの姿。
「アンタ、だから騙されるんだよ」

何で。
何で赤木は、こんなに一条を犯人にしたがっているんだ。
事件に関わりたくないってのはいつもの事だけど、ここまで強く言ってくるのは初めてだ。
「赤木…」
戸惑って赤木を見ると、赤木は鬱陶しそうに頭を掻いた。
「ここの奴等には関わりたくない…」
それも何だかんだでいつもの事だけど。

「何かあるのか…?この事件」
よく考えたら、赤木が第一発見者ってのも、おかしい。
関わりたくないと言いながら、この部屋の前まで来たのだ。
「何も無いさ」
赤木はため息を吐いて、煙草を外に放り投げた。
「ただ、第一発見者ってだけで面倒なのに、これ以上面倒を背負い込みたくないだけだ」
それだけ呟いて、赤木は出口へ向かう。
俺とすれ違う時、もう一言言ったそれが、一番の理由なのだろうか。

「俺が初めて見た死体も、あんな感じだったかな」

赤木の後を追い掛けて、背中から抱き付いてやった。





騒動の理由は分からずとも、何かが起きたのはペンションにすぐ広まった。
ドアを蹴破ったり、一条の叫び声があったのだから、何も気付かれない事は無いだろう。
その対応に追われ、ペンションのスタッフは忙しそうに駆け回っている。
指揮は、きっと村上が取っているのだろう。

赤木は相変わらず、何もなかったかのように本を読んでいる。
本気でぶたれて腫れた頬を冷やしながら、俺は頭の整理をしていた。
赤木は全く事件に関わる気が無いようで、解くなら俺一人だ。

まず、被害者は黒崎って、一条の上司。
殺害方法は背中をナイフで一突き。
うつ伏せで倒れていたから、もしかしたら前には傷があるかもしれない。
部屋の出入りは鍵の掛かったドアだけで、その鍵は部屋の中。
窓からの出入りは困難だし、三階に届く梯子なんてなかなか無い。
これで部屋には死体だけってなら、立派な密室殺人だ。
だが、中には一条がいた。
ベッドで眠っていたとされる一条が。
この状況で、一条を疑わない方がおかしいんだろうか。
確かに、一条ならば犯行は至極簡単だ。
ワインに薬を入れて黒崎を眠らせ、ナイフで一突きした後、自分も寝てしまえばあの状況は完成。
自分も眠らされていたって言う為に、薬を飲んだっていい。
あれ?やっぱり一条が犯人なのか?

「そういえば、赤木って黒崎に呼ばれたとか言ってたけど、どういう事だ?」
まぁ、カジノで無法の大勝をした赤木なら、呼び出されても不思議は無いが…。
「カイジさんが爆睡してる間に、黒服が一人来てね。話したい事があるから来いとさ」
と言うことは、赤木を呼ぶように黒服が言われた時には、まだ黒崎は生きていたんだな。
その黒服が行った後から、赤木が来るまでの時間。
そう考えると、かなり短く感じる。
犯人が逃げるまでには、一応赤木が部屋から去ってからドアを蹴破るまでの時間はあるが、殆ど状況には変わり無い。

ただ一つ気になるのは、その短時間で黒崎を眠らせる事が出来るのかという事だ。
しかも、ただ眠らせるだけじゃない。
ナイフで刺されても起きないくらい、深い眠りだ。
「薬にしたって…そんなに早く効くのか…?」
ボソリと俺が呟くと、赤木は鞄から茶色い手のひらサイズの瓶を取りだし、コップに入ったお茶に中の粉を注ぐ。
「なら、カイジさんで試してみよう」
ニヤリと笑う、赤木が怖い。
「いや…ちょっと待てよ…」
「いいから飲め」
無理矢理にコップを口に押し付け、お茶を流し込まれる。
溺れるようにお茶を飲むと、赤木は満足げに笑い、時計を見た。

「俺が計っておくから、安心して眠ってよ」
俺が殺されるんじゃないか。
そんな風に思えて仕方なかった。






目が覚めた時にはもう昼だった。
赤木は部屋に居らず、小遣いと書かれたメモと共に百万分の札束が置いてあった。
とにかく、事件の事が気になって、十万だけポケットに入れて部屋から出る。
やはり従業員は忙しそうにしているが、警察が来ている様子は無い。
こんなキナ臭い所に、警察は呼べないのか?
それにしたって、殺人だぞ。

そんな中、見た顔を見付けた。
「おい、アンタ!村上!」
声をかけると、村上は青い顔でこちらを見た。
疲れているんだろう。
「あぁ…カイジ様…どうなさいましたか?」
「いやその、一条はどうしてる…?すごいショック受けたみたいだったけどよ」
俺の言葉に、村上はため息を吐いた。
「館長は、まだ寝込んでるよ…ショックじゃない訳が無かったんだ」
やはり、一条にとって、この事件は衝撃だったんだ。
赤木はきっと、演技だとでも言うだろうが。
「一度、会って話せないか?」
俺が言えば、村上は目を吊り上げた。
「傷心の館長と、一体何を話すつもりだ…!」
村上のこの反応も分かる。
だけど、状況をちゃんと知りたいんだ。
「今回の殺人…このままじゃ、犯人は一条にされる…どうにかしたいんだ…」
上司を殺したなら、きっと館長だって続けられないだろう。
「館長は、殺人なんかしてない…」
「分かってる…だからこそだ…!」
分かって欲しくて強く言ったが、村上は俺を睨み付けた。
「お前なんかに、何が出来る!」
突き付けるように、村上は言った。
俺に、何が出来るのか…分からないが、動かないよりずっと…。
「館長は今、傷付いているんだ…好奇心で突っ込んで、館長をこれ以上追い詰めたらどうする!」
「それは…」
「館長には、近付かないでくれ…」

ハッキリ言えなかった俺に、説得力など無い。
村上は俺を拒絶すると、廊下を歩いて行ってしまった。
そうだ。
赤木も動かないのに、俺に一体何が出来るんだろうか。







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