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『切欠』の続きとなる、DV開店の話です。
続きがあるかは未定です。





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「なぁ…顔を殴るのは、止めてくれないか?」
俺が言うと、カイジは気だるそうに煙草を口に付けた。
「部下が、顔の痣に気付いて…だから…殴るなら見えない所にして欲しいんだ…」
今日は、悪漢に絡まれたなんて言って誤魔化したが、余りに痣が絶えないと、この関係すらバレるかもしれない。
「だからさぁ、ヤってる時に喋らなきゃ殴らねぇって」
「それでも、抑えきれない時があるから…その時は…」
躊躇い勝ちに俺が言えば、カイジは俺を睨み付け、手に持った煙草を俺の手の甲に擦り付けた。
「いぁ…っ!」
咄嗟に手を引っ込めると、カイジは俺の胸を突き飛ばす。
「そんなに嫌なら出てけばいいだろうが…!」
その言葉に、目眩がした。

「ご…ごめんなさい…」
捨てられたくない。
俺が彼に捨てられるなんて駄目だ…。
俺が彼を捨てるんじゃなくちゃ…。
それでなきゃ、全部ぜんぶ、無意味だって事になる。
「カイジっ…」
縋るように腕を伸ばせば、カイジはその手を自らの股間に伸ばした。
「何すればいいか、分かるだろ?」
ニコリと笑う彼は、昔と同じ顔をしていた。

彼のズボンのジッパーを下ろし、ソレを取り出す。
恐る恐る舌を伸ばせば、嫌な味が脳を刺した。

捨てられたくない。その一心で…。








結局は帝愛に縛られたままの俺は、暫くすると黒崎に元のカジノへ戻された。
目玉であった沼は崩壊し、あんな事があった後、村上一人では立て直すのに苦労しているらしい。
カジノの従業員も、俺が店長に戻ることを歓迎してくれた。
そうして、給料が入るようになってからは、生活費の半分を俺が出す事にした。
だが、それから少しすると、カイジはやっていたバイトを辞めた。

「なぁ、まだバイト見つからないのか?」
控えめに言ったつもりだった。
今では、生活費は元より、カイジのお小遣いまで俺が出している。
地下から戻ったばかりの俺には、余り余裕は無い。
せめて自分の食い扶持くらいは、自分で稼いで欲しかった。
「カイジ…」
反応しないカイジの名前を呼ぶと、カイジはため息を吐いた。
「うるせぇな…!探してるよ!」
カイジの腕が伸び、ジャケットを剥がれる。
「ごめ…っ!」
慌てて謝ろうとするが、その勢いのまま壁に押さえ付けられた。
「カイジっ…止めてくれ!明日は仕事が早くて…」
相変わらず、自分本意な使い方しかしない行為の後は痛みが伴う。
最初に比べれば慣れはしたが、それでも辛いものは辛いのだ。
だが、そんな俺に対して、カイジは平手打ちをした。
「うるせぇ。喋るな」
「やっ…」
下を一気に下ろされ、冷えた空気が肌を撫でる。
床に転がされると、カイジの手が尻の肉を掴んだ。
「あぁっ…!」
急いで手で口をふさいだが、躊躇いなく後ろから突かれる痛みに、声が溢れてしまった。
それで目の色が変わったカイジが、重い拳を頬に落とす。

顔にやらないでと言う頼みさえ、聞いてくれないのか。



「おら、歩けよ」
散々乱暴に注ぎ込んだと思ったら、カイジが俺の腕を引く。
「もう…出来な…」
息苦しく、朦朧とした頭で、カイジに引かれるまま歩けば、向かった先は玄関だった。
「……カイっ!」
不思議に思ってカイジを見た途端に、背中を押されて外へと出された。
無情に閉まったドアからは、鍵を掛ける音が響く。
「嘘…カイジ…!」
必死でドアを叩く。
衣服はYシャツ一枚で、夜風が裸足の足を撫で上げる。
後孔から、注がれた体液が溢れ落ちる感覚がした。
「頼むカイジ!開けてくれ!」
大声を出すことも出来ずに言うと、ドアの向こうから声がする。
「嫌なら出てけって言ったよな?そんなに金出すの嫌なら、どこにでも行けよ」
楽しんでる。
顔は見えないが、きっと今彼は笑っている。
絶望的な気持ちになりながら、いつ彼が満足するかと考える。
その場にしゃがみこみ、出来るだけ肌を隠した。
「なぁ…カイジ…俺が悪かったから、入れてくれよ!頼む。人が…人が来たら…」
階段に目を向ける。
薄暗い廊下の続くその空間が、まるで魔物でも居るかのように恐ろしい。
もし、あの階段から人が来たら…。
そう思うだけで恐ろしくて堪らない。
しかし、ドアの向こうからは声が返ってこない。
「カイジ…なぁ…ごめんなさい…入れてください。カイジ…」
殴られた場所が痛い。
ふと目を落とせば、日々増えていった痣が見える。
改めて見ない様にしていたが、それは全身に広がっていた。

それでもこれは、カイジが俺を求めている証なのだと、言い聞かせた。
「ごめんなさい…もう変なこと…言わないから…お願いします…ヒッ」
階段の方から、足音が響いた。
誰か来る。隠れなきゃ。でも、何処に?
パニックになる頭ながら、精一杯シャツで体を隠し、うつ向いて息を潜める。
少しずつ近付いてくる足音に顔を上げず、黙って通り過ぎるのを待った。
間近に迫った足音は、一度止まると、その後は急ぐ様に俺の後ろを通り抜けて、幾つか離れた部屋に入って行った。
情けなくて、涙が零れる。

「反省したか?」
不意に、ドアが開いた。
声も出せず、涙でぐじゃぐじゃになった顔を縦に振ると、カイジは満足げに笑って俺の腕を掴む。
部屋の中に引きずり込まれると、カイジが俺の頬を手のひらで撫でた。
「もう二度と口出しすんなよ。臭いから早く風呂入れ」
精一杯首を縦に振り、急いで風呂に行く。
ナカに注ぎ込まれたモノを掻き出して、シャワーを当てて洗浄する。

いつまで。
そんな事が頭を過る。
いつまで耐えれば、カイジは俺に依存して、乞いて、俺無しでは生きていけないくらい、狂ってくれるだろうか。

髪から垂れた雫が、拭いた胸を濡らした。






寝巻きに着替えると、カイジの元へ行く。
カイジは安いビールを煽って、俺の買った小さなテレビを眺めていた。
気付かれぬように後ろへ忍び寄り、カイジの首に腕を伸ばした。
「カイジ」
後ろから腕を絡めると、カイジは露骨に嫌そうな顔をする。
「何だよ」
既に少し酔っているのか、頬が赤くなっている。
俺は何も言わず、その頬に唇を付けた。
惑え。俺に。頼むから。
「やる気なんじゃねぇか…」
カイジは蔑むような目で俺を見ると、俺の体を布団へと沈めた。
そして、珍しくぺたんこの俺の胸に舌を這わせ、俺の下着をずらす。
先程押し開かれたばかりのソコは、慣らす必要は無い。
それにしても、俺から誘ったとはいえ、よく性欲が続くものだ。
幾つかしか歳は離れていないけれど。
カイジが俺に狂っている証拠だとするならば、嬉しい。
「っ…」
抵抗が少ないとは言え、カイジの反り勃ったモノが入って来ると、圧迫感に息が苦しくなる。
だけど、カイジは何度も、俺に興奮してくれる。
俺の身体の中で、カイジが感じてくれている。
それが嬉しい。

カイジのモノが前立腺を刺激して、意識に靄がかかる。
必死にカイジの背中に腕を伸ばし、抱き付いた。
「カイジッ…あっ…好き…好きぃッ…!」
もう訳もわからず喚くと、当たり前のように、カイジの拳が落とされた。
「気色悪い事言うな。萎えんだろ。黙ってろ」
不機嫌そうにカイジは言うと、再び腰を振り始める。
止められないんだ。
体だけでも、俺に依存してくれてるから。
このまま全て俺に依存して、狂ってくれたら、捨ててやるんだ。
俺が、カイジを、捨ててやるんだ。

溢れた鼻血が、白い枕カバーを汚した。





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