管理人の腐った頭にご注意下さい。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 黒一+開店です。 小説がちょっとありきたり感出て来たので、そろそろどうにかしたい。 一 「綺麗だよ。一条。」 男の手が、肩を撫でた。 「君は何より美しい」 在り来たりな言葉ばかり並べて、その瞳の奥は下衆な欲望で満たされている。 どうせ、そんなモノなのだ。 誰も俺の事を本気で愛してなどいない。 今この身体に触れている男でさえ、俺の事を見ていない。 それはそうだろう。 俺は、ただの道具に過ぎないんだから。 男はまるで玩具でも愛でるかの様に、俺の身体を撫でまわす。 頬に触れた左手に擦りよって見せれば、男は満足げな表情を見せた。 この行為は手段であって目的じゃない。 俺は自分を買ってくれる男がいれば誰でも良かった。 ゴミ箱に捨てられ、惨めな思いでその底を這いずり回るよりかは、どんな使われ方であろうが幾らかマシだ。 だからと言って、そこで満足するほど素直には生まれていない。 自分を買った男をも越えて、いつかは誰よりも高みに。 そう思っていたハズなのに。 「何が欲しい?その口で言ってみなさい」 男の指先が唇に添えられる。 「私は……」 シーツを握り締め、回らない頭で考えてみる。 俺が欲しいのは? 地位?名誉?金?全てを思うままに動かせる権力? それとも……? 悪魔の囁きを繰り返す、男の顔を見上げた。 貴方が欲しいと言えたなら、どんなに楽だろうか。 「沼を…カジノにある、沼を下さい」 俺の働いているカジノの花形、1000倍台。沼。 アレはまだ、羽化していない。 「沼を手に入れてどうする?」 男は、俺の言葉に面白そうに笑う。 「アレはまだ良くなります。やらせて下さい。私に」 そう、貴方は私がそう言う方が嬉しいのだ。 野心家で、ギラギラした私だからこそ、見ていてくれるのだ。 「そうか。ならやってみなさい」 男は笑みを浮かべ、無駄の無い動きで俺をベッドへ押し倒す。 貴方は、俺の事など見ていない。 口に出す言葉も、在り来たりの言葉だけ。 花に水をやるように、犬に餌をやるように。 それでも俺は、貴方が欲しい。 「黒崎様っ…!」 それから暫くして、俺はカジノの店長に抜擢された。 二 金属同士がぶつかり合う、高い音が響く。 けたたましい音楽の波の中、溶けていく一万円分の玉を恨めしげに眺めていた。 「クソッ!」 舌打ちをして、台を叩く。 財布を覗いてみるが、残りの千円には手を出せない。 「やぁカイジくん。今日は調子が悪いようですね」 「あぁ?」 隣から聞こえた茶化すような声に、苛ついた声のまま振り返る。 その隣の台に座っていた男を見た瞬間、思考が停止した。 黒く長い髪、体のラインにそったスーツ。 煙臭いパチンコ屋に似合わないその風貌。 「一条……」 俺が名前を呼べば、一条はニコリと笑う。 裏カジノで出会った時と同じ笑顔だ。 「何処か別の場所で話しませんか?」 客の少ないファミレス。 目の前では、地下に落ちたハズの一条が座っている。 コーヒーを一口啜ると、一条は俺を見た。 「その…早かったよな…出るの…」 その場の空気に耐えきれず俺が言うと、一条は小さく「あぁ」と呟く。 一条は一体、何の為に俺に会いに来たんだろう。 報復する為? だとしたって、この一条の態度はオカシイ。 どう見ても、一条はソファでくつろいでいる。 「なぁ、カイジくん」 不意に一条が俺の名前を呼び、そっと手を握った。 「お前は俺が好きだろう?」 一条の言った言葉の意味が分からず、再び思考が停止する。 そして、その言葉の意味を理解した瞬間、顔の温度が上がるのを感じた。 「なっ…!何で俺がお前なんか!」 言葉に詰まりながら俺が言う。 すると一条は、携帯を取り出した。 「そうか。カイジくんは俺が嫌いか。それならそれで良い」 俺の手を握った手を離し、一条は携帯の番号を押していく。 耳に携帯をあて、一条は俺を一瞥する。 「あ。村上か?久しぶりだな。俺だ」 村上。 確か、カジノで一条と一緒に居た男。 「あぁ。出てきた。じゃなきゃ話せる訳ないだろ?」 向こうの対応に一条はクスクスと笑う。 「なぁ村上。何処かで会えないか?」 その一条の言葉で、俺は携帯で話し始めた理由を知った。 此奴、あの村上って男にも、同じ質問を投げ掛ける気だ。 そう思った時、俺は無意識に一条の携帯を奪い取っていた。 携帯からは、村上が必死に手帳を探している音が聞こえている。 その俺の行動に、一条は狼狽える事も無く黙って俺を見た。 「どうしたんだい?カイジくん」 一条は分かってやっている。 「何がしたいんだよ。お前」 俺が言えば、一条はまた笑みを浮かべた。 「抱いて欲しいんだよ。この身体を」 携帯を持った俺の手に指を絡ませ、ゆっくりと電話を切る。 「カイジくんに出来るかい?」 薄く開かれた瞳で、一条は俺を見詰める。 「俺は……」 そのまま言葉に詰まっていると、携帯が鳴り出した。 「残念。時間切れだ」 携帯を取ろうとする一条の手を咄嗟に避け、俺は携帯を切った。 三 汚いアパートの一室。 湿っぽくぺしゃんこな煎餅布団の上に、一条は膝を曲げて座った。 異様だ。 こんな部屋に、一条みたいな人間が居る事に違和感を覚える。 「なんか飲む?」 苦し紛れに提案してみるも、一条はふるふると顔を横に振った。 そして自分の手で、ネクタイを解いて見せる。 その手つきや動きからは、洗練された色気を感じた。 「来いよ。カイジくん」 俺の左手の薬指と小指を握り、一条は誘いの声を出す。 一条の隣に座り、言われるがままジャケットに手を掛けた。 脱がせたジャケットを布団の傍らに置き、Yシャツのボタンを外そうとした時、一条の唇に目が行く。 そのまま一条の顔に目をやれば、一条は真っ直ぐと俺を見ていた。 「キス、したいのか?」 意地の悪い笑みを浮かべ、一条は言う。 言葉を返す代わりに軽くキスをしてやると、一条は俺の首の後ろに腕を回した。 「もっと」 一条がそう言って目を瞑る。 唇を重ね、薄く開いたトコロに舌を捩じ込めば、一条は自ら舌を絡ませてきた。 湿った音が部屋に響いていく。 一条の背中と頭を抱き、逃げられない様に拘束して、一条の口に自らの唾液を送り込んだ。 一条の喉がゴクリと鳴り、ようやく口を離した。 酸欠で息を乱したまま、一条は腕を解く。 服を脱がせろと言う事だろう。 再びYシャツのボタンに手を伸ばし、一つ一つ外していく。 露になっていく一条の身体は、地下に居たせいか白く感じる。 その中で、小さな二つの膨らみが主張していて、俺はそれに指で触れてみた。 「んっ…」 一条の身体がビクリと震える。 どうやらここは弱い様だ。 「一条…かわいい…」 身体を震わせ、眉を寄せる一条の姿に、つい口に出た。 その瞬間、一条は顔を歪める。 「言葉はいらない。どんな綺麗な台詞を並べたって、結局ヤってる事は一緒だろ」 一条はそう呟き、俺の手を急かした。 一条が何を考えているのか。 それは分からない。 ただ、一条はひたすら身体を求められたいようだった。 全てのボタンを外し終え、Yシャツを脱がそうと握った時、一つ思い付いた。 握ったYシャツごと一条を引き寄せ、胸の膨らみに唇を付ける。 そのまま吸ってみると、一条は艶のある息を吐いた。 俺のする事全てに、余裕を持って対応している一条。 このまま一条の弱いトコロを弄っていけば、あの時みたく必死な一条が見れるんだろうか。 舌でその膨らみを転がすように舐め、一条の背中をなぞる。 甘い声が聞こえて来たら、そろそろ反応しているであろう下に手を伸ばす。 だが、その手は一条に止められた。 「そこ触りたかったら、お前も脱げよ」 そう言った一条は、挑戦的な目で俺を見ていた。 四 「早かったな。一条」 机で書類を弄りながら、男が柔らかく笑う。 「確かに出来る子だとは思っていたが、ここまでとはな」 本当に意外だったのだろう。 もう、俺は地下から出てこないと思っていたハズだ。 そして、地下に落ちた俺の事など、一度も思い出したりしなかった。 貴方にとって、俺はいらないモノになってしまったから。 それでも、這い上がって来た俺に会ったのは、珍しさからか。 それとも、まだ俺に利用価値があるからか。 また、俺の心を囲い込もうとしている。 男は不意に立ち上がり、俺の前に立った。 「生還した祝いをやらなければね」 男の手が頬を撫で、懐かしい温もりが触れる。 「何が欲しい?言ってみなさい」 昔言われたモノと、同じ言葉。 私が貴方にあれだけ尽くしても、近付いてすらいなかった。 昔と同じ立ち位置。 捨てられもしなければ、愛されもしないただの玩具。 自分の愚かさに笑えてくる。 頬に置かれた男の手を取り、指を絡めた。 「貴方が欲しいです。黒崎様」 ずっと想いながら、ずっと言えなかった言葉。 それを吐き捨てれば、男は眉を寄せた。 「それを口にする程、君は愚かでは無いと思っていたがね。地下で毒されたか?」 男は手を解き、つまらなそうに俺を見る。 「私が与えると思うか」 「いいえ」 貴方は俺の事など見ていない。 昔も今も。 だからこそ、言っておかねばならなかった。 「愚かだとは分かっています」 これは一つの決別だから。 俺の様子からその意思を感じたのか、男は不敵な笑みを浮かべた。 目を覚まして見れば、もう窓の外は明るくなっていた。 抱くように握り締めていたカイジの服を放り投げると、台所に居たカイジが振り向いた。 「一条。起きたの?」 水を持って、カイジがこちらに来る。 それを受け取ろうと起き上がると、カイジは顔を反らした。 「何してんだよ」 目を瞑ったまま水を受け渡そうとするカイジに聞く。 「ふ…服着るとか、布団で隠すとかしろよ…!」 照れてんのかよ。 「昨日、散々色んな事したクセに、何言ってんだ」 水を飲みながら、一応前だけ隠してやる。 すると、カイジも恐る恐る目を開けた。 「……あのさ」 まだ俺の身体についた情事の跡が気になるのか、目を泳がせながらカイジが呟く。 「何で、俺のトコロに来たの?」 ヤってから言うのか。それを。 「だって、やっぱりあの村上って男の方が付き合い長いだろうし…。俺…お前に恨まれる事はあっても好かれる事は…」 ウジウジと、指を弄りながら言葉を綴る。 あの時のカイジとは大違いだ。 小さくため息を吐くと、カイジはビクリと身体を震わせた。 「お前ならさ、理性もモラルも脱ぎ捨てて、ただ抱いて貰えると思ったんだよ」 愛されなくても良い。 ただ、飾りも理性も全て無くして、触れてみたかった。 「ふぅん?」 納得のいっていない顔でカイジは布団を見る。 そして、俺の服を拾い集めた。 「良く分かんないけど、俺は一条が好きだから抱いたんだからな」 スーツとシャツを、カイジは俺に差し出す。 「ならお前は、俺をずっと見ていてくれるのか?」 渇いた声で俺が言えば、カイジは俺の手を握った。 「一条が望むなら、俺が見ていてやるよ」 どうして、この男はこんなにも甘いのだろう。 堕落するのは見えている。 あの方と比べてしまえば、この男なんて其処らの野良犬と一緒なのだ。 それなのに。 俺は何故、この男に会いに来たんだろう。 PR |
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