管理人の腐った頭にご注意下さい。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 村一でネタメモみたいなモンです。 同棲してる村一も書いてみたい。 翌日が休みの夜、俺はいつものように缶ビールに手を伸ばし、スエットでくつろごうとしていた。 ただその日はいつもと違い、部屋のチャイムが鳴らされた。 心地よい気分を害され、俺は威勢良く玄関のドアを開ける。 だが、そこに立っていた男を見た瞬間、背中がヒヤリとした。 「て、店長…?」 俯いている彼の顔はよく見えず、一体どういう訳で来たのかも分からない。 ただ、肩が震えている事は見て取れた。 まさかと思って服を観察するも、いつも通りキッチリとスーツを着ている。 「とりあえず、入って下さい。寒いでしょう?」 彼の肩に手を伸ばし、部屋へ誘導する。 その時に見た髪も、いつも通り綺麗だった。 取り敢えず居間に通し、ソファに座らせる。 その間も彼は何も言わず、ただ俯いていた。 「何か飲みますか?」 そう聞いてみると、僅かに顔を横に振る。 まずいかな?とは思いながらも隣に座り、顔を覗き込む。 彼は、哀しそうな、悔しそうな、逆に何も無いような、そんな微妙な表情をしていた。 「疲れてますよね」 また首を横に振ろうとした彼の肩に手を置き、引き寄せる。 「疲れてるんですよ」 彼の頭を優しく撫でて、冷えた体に熱を送る。 暫くそうしていると、彼は俺に体を預けた。 正直、俺は彼の悩みを聞くだけの勇気が無い。 きっと彼の闇は大きくて、俺なんかにはどうしようも無い。 だから触れない。 彼の闇を知るのが、俺は怖いんだ。 「もうこういう時は、さっさと寝た方が良いですよ」 俺が言えば、彼は小さく頷く。 いつも凜と美しく、自分に厳しく生きている彼。 だからこそ、吐き出せない思いもあるのだろうか。 「じゃあ、俺の服貸しますから、着替えて下さいね」 そっと手を離し、立ち上がる。 少し気にかかるが、急いでジャージをタンスから出して、居間に戻った。 彼は、ソファに気だるく座っている。 「どうぞ。あ、洗面所はあっちです」 ジャージを渡すと、彼はゆっくり洗面所に入っていった。 その間に缶ビールを冷蔵庫にしまい、軽くテーブルの上を片付ける。 後は急いで、捨てる機会を失って取ってあった布団を敷いた。 そして、彼が洗面所から出てくる。 ジャージ姿の彼は、スーツを着ている姿しか見たことの無い俺にとって、すごく新鮮だった。 ゆっくりと彼は歩き、俺の胸にそっと顔を埋めた。 「店長?」 びっくりして彼の肩に手をやると、彼は俺の服を掴んだ。 「一緒に、寝てくれ」 か細い声で、彼が呟く。 本当に、今日の彼は弱っている。 俺は出来るだけ優しく、彼の体を抱き締めた。 「分かりました。一緒にいますよ」 敷き布団を部屋の端に追いやり、彼をベッドに寝かせる。 安物のこのベッドが、余りフカフカではない事が少し申し訳ない。 彼の隣に寝転がり、彼の体を抱き寄せる。 「おやすみなさい。店長」 髪を撫でると、彼は瞼を閉じた。 翌日、俺が目を覚ますと、彼はベッドには居なかった。 ベッドから起き上がって居間に出ると、洗面所でネクタイを締めている彼の姿があった。 その姿は、いつもの凜とした彼の姿だった。 洗面所の鏡越しに彼を見ていると、彼は俺に気付く。 「村上。おはよう」 振り返って、彼が言う。 昨日の事が嘘のように。 本当に、いつも通りに。 「店長…。おはようございます」 俺は、貴方にとって何なんでしょうか。 「朝飯は作っておいた。後でお前も食べろ」 彼の指差した先には、ラップのかかった皿が置いてあった。 昨日のお礼のつもりですか。 「それじゃあ、俺は今日も仕事だからな。行ってくる」 彼はさっさと玄関に向かい、靴を履いた。 昨日の弱った貴方を、ずっと側に置いておきたいと思った俺を、貴方は軽蔑しますか? 玄関に立っている彼に近寄り、そっと髪を撫でる。 彼はそれに驚き、俺を見た。 「ありがとう。村上」 柔らかく、彼は笑う。 その笑顔で、俺の汚い感情は消え去った。 「無理は、しないで下さいね」 ただ、それだけを思った。 「あぁ。行って来る」 ドアを開け、彼は出ていく。 弱った時だけで良いんです。 俺を頼ってくれるなら。 彼のいなくなった部屋で、俺は静かにそう思った。 PR |
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