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シリアスの話だと、一条さんが泣きたい時には、カイジさんが先に泣いてしまったり、村上が慰めたりしててなかなか泣いてくれないので、泣かしてみました。

という、上の説明から派生した話がもう一話出来たので、次回はそれ上げます。
とはいっても、次回は一条泣きません。

ちなみに、今回は開店。



後、リクエスト募集は明日までです。
ですが、まだまだウェルカムなので、皆様どうぞ言いつけて下さいませ。





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冷たい風が吹き抜け、身も凍える冬の夜。
隙間風が入るボロいアパートの一室に、小さい電気ストーブが一つだけ。
部屋の中でも上着を着ていないと、随分と寒い。
折角淹れたお茶も、今ではぬるくなってしまった。
ぬるくなったそのお茶を飲み干して隣を見ると、前にふざけてプレゼントした、真っ赤な半纏に身を包んだカイジが座っている。
小さくため息を吐けば、それは白く変わった。

「寒い…」
ぼやくように言うと、カイジが此方を向く。
その手には、ギャンブルの雑誌が握られていた。
「そんなに寒いか?」
カイジは一度首を傾げる。
それによって露になった首筋に、俺の指を添えてやれば、カイジはビクリと身体を震わせた。
「…ッ!何でそんなに指先冷たいんだよ!」
身体ごとカイジは俺の方を向き、包むように手を握る。
息までかけて温めようとする姿は、異様に必死だ。
「寒い時は、いっつもこんなモンだ」
何だか恥ずかしくなってきて、手を引っ込める。
「冷え症ってヤツ?」
まだ心配そうに、カイジは言う。
それに「まぁな」と投げやりに答えると、カイジは少し黙った。
何か考えているような、そんな雰囲気だ。

「足も、寒いの?」
俺の足先を見て、カイジが言う。
あぁもう。面倒な事になった。
俺が答えずにいると、カイジは恐る恐る俺の足に手を伸ばす。
軽く触れたその指を踏みつけてやれば、カイジは顔をしかめた。
「止めろ冷たい!」
カイジはそれだけで涙目になっている。
それが可笑しくて、足の指でカイジの手を揉んでみると、カイジは力任せに手を引き抜いた。

「折角心配したのに…」
カイジは軽く睨んでくる。
ただ、俺が嘘を吐いたみたいな言い草は納得いかない。
「寒いのは寒いさ」
こんなボロ屋で小さい電気ストーブ一個じゃ、寒くない方がおかしい。
俺がそう言うと、カイジは一度黙る。
だが、次には俺の身体を抱き込んだ。
「こうすれば暖かいかな」
ギュッと腕に力を込め、カイジは呟く。
意外と恥ずかしい事出来るんだよな。コイツ。

でも、カイジと体を寄せ合うことで、やはりじんわりと温かい。
一言二言でも悪態を吐いてやろうかとも思ったが、今は止めておいてやろう。
目を瞑って頭を預けると、何だか安心してくる。
「大丈夫か?一条」
カイジの指が、優しく髪を撫でる。

人と人とが触れ合う事で感じる、人工的ではない原始的な温かさ。
よく知った手の平の、優しい愛撫。
何でだろうな。
こんな安っちい温もりなのに、すごく安心出来るんだ。

「カイジ。もっと」
背中に手を伸ばし、深く身を埋める。
その行為にカイジは一瞬驚くが、次にはまた俺の頭を撫でた。

不意に、ポタリと水滴が頬を伝う。
それに驚いて顔を上げると、カイジは目を丸くした。
「えっ…一条?なんで?」
焦った声でカイジは言い、俺の頬を必死に拭う。
それでも止まらない水滴が、カイジの指を濡らしていく。
そこでようやく、この水滴が涙なのだと気付いた。

「どうした?何か、どっか痛かったか?」
オロオロと動揺し、カイジは俺の頭を撫でる。
先程と違い、髪が乱れるだけの乱暴な動きだ。
でも、それもカイジらしい。
馬鹿丸出しだ。

あぁ、もう。
本当に安心する。
安心して泣くなんて最低だ。
滅多な事じゃ、涙なんて出なくなってたのに。

唇を噛んでみても、涙は止まってくれない。
悔しい。
こんなにカイジの事を…。
首を振って、戸惑うカイジの胸に顔を埋めた。
「一条?」
「うるさい!」
俺が涙声で叫べば、カイジにはどうやら理解されてしまったようで。
「ごめん」
そう呟くと、カイジはまた、優しく髪を撫で始めた。

「ずっと一緒に居ような」
見なくても笑顔だと分かる明るい声で、カイジは言う。
バーカ!
お前なんかと、いつまでも一緒に居られるか!
こんな堕落した生活で、上が狙える訳が無い。
お前みたいなクズなんかと…。

あぁクソッ…!
何でこんなに、涙が出るほど安心するんだ…!







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