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前回言っていた、黒一小説です。
始めは、ギャグ漫画の時の一条が黒崎に「抱いて」ってせがんで来て、それに困る黒崎の図を描こうと思ってました。
でも、思いのほか一条がしっかり者になってしまったので、思わぬ着地点につきましたw

あんまりエロくないけど、一条さんが射精しちゃってるからRにしときましょう。




+コメレス

よつば様
メールありがとうございます+あけましておめでとうございます!
少々不安だったのですが、満足して頂けたようで良かったです^ω^
こちらこそ、これからもよろしくお願いします。
楽しんでもらえるような作品作りを頑張りたいです。





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「黒崎様。抱いて下さい」
キッパリと言い切った一条の言葉に、黒崎はポカンと口を開けた。


全ての始まりは、数時間前。
帝愛の経営するカジノに、あの会長に明らかに嫌われているスタッフが居ると聞き、黒崎はその顔を拝みに来た。
嫌な根性で来たと言うよりも、あの会長にイビられて尚、帝愛で働き続けられる事に、純粋に驚いたからだった。

黒崎にしては珍しく、何の調査もせずにカジノ乗り込んだ。
そこで一条を見かけた時、此奴だとすぐ分かった。
理由は特に無い。
言うならば、その雰囲気か。
他の者とは少し違う真っ直ぐな向上心と、歪んだ野心を纏っているように見えたからだろうか。

そのまま声を掛け、馴染みのホテルに連れ込んだ。
そして話を聞いてみると、他の者とは一線を画した能力が見え隠れする。
普通の会社ならば、上に行けるタイプの人間だ。
ただ、まだ青く経験が足りない。
帝愛の特殊な環境も合わさって、此奴は埋もれてしまうかもしれない。
それは少々、勿体無い。

そう思い、警戒を解かない彼を優しく宥め、話をしてやった。
酒も進めたし、手懐けようとしたのは確かだ。
だが、こうなるとは思わなかった。


「君は、そういう趣味だったのかな?」
元の向かい合ったソファに座るよう促すが、一条は黒崎の隣に座る。
「いえ、言い寄られた事はありますが、男に興味はありません。黒崎様はどうですか?」
頬を赤く染めた顔を傾け、一条が言う。
「私では、勃ちませんか?」
一条の指が、黒崎の太股を撫でる。
言っている事とやっている事が滅茶苦茶だ。
黒崎は小さくため息を吐く。
すると、一条はムッとした顔をする。

「自分で言うのもなんですが、私の顔はそこらの女よりも美しいと思います。声が気になるのでしたら私はもう声を発しませんし、体が気になるのでしたら、出来る限りの露出は控えます。服を着たままで結構です。ですから…!」
畳み掛けるように一条は言い、黒崎に擦り寄った。

「一条…どういうつもりだ?」
黒崎が呆れた口調で言う。
「黒崎様に、この身を抱いて欲しいと思ったのです」
まるで業務連絡でもするかの様に、テキパキと一条は告げる。
その言い方では、色気も何もない。
「本当に、それだけでは無いだろう?」
そう黒崎が聞けば、一条は唇を噛んだ。

「確かに、下心はあります」
言葉を紡ぐ一条の大きな瞳が、黒崎を射抜く。
それは、確かな野望に染まっていた。
「ご存知かもしれませんが、私は会長に嫌われているようです。それも伴い、私は周りに敵が多いのです。そこにつけ込んで、言い寄ってくる馬鹿もおりますが…」
少し乱れた黒い髪を手で整え、一条は息を吐いた。
「黒崎様は、帝愛の幹部でいらっしゃいます。そんな方に抱かれたとなれば、少しは雑音も減るかと」

自分の名を利用しようと言う事か。
黒崎はそれを正直に言ってくる一条に、ある種の感動を覚えた。
そうして黙っている黒崎の姿に焦ったのか、一条は黒崎の手を握った。
「私は、絶対に黒崎様に迷惑はかけません!私から名前を出す事も、その名前を利用する事も絶対にしません。ただその事実さえあれば、図らずとも雑音は引くのです」

そこまで一条は喋ると、握った黒崎の手に指を絡める。
目を軽く伏せ、精一杯黒崎を誘おうとその手に唇を付けた。
「黒崎様…」
長い睫毛で縁取られた瞼が瞬き、黒崎は頭がクラリとする。
「一条…」
どうすれば断れるか思考を巡らせながら、黒崎は一条をもう一度眺めた。

確かに顔は良い。
そして、自分の野望の為ならば、汚れる事も厭わしない強かさもある。
それならば、いくらでもそう言った趣味の大物を、後ろ楯に出来そうだが。

その事を聞こうと思った時、一条が黒崎の持っていたグラスを取った。
まだ半分ほどブランデーが入ったグラスを、わざわざ黒崎が口を付けたトコロを探して飲む。
その姿は、まるで茶を飲む時の様で滑稽だった。
要は、誘惑する事に慣れていないのだ。

ブランデーを飲み干すと、トロンとした目で一条は黒崎を見た。
「キス…してもいいでしょうか?」
もじもじと膝を擦り合わせ、一条が言う。
前に、会長に大量の酒を飲まされたと聞いて、勝手に酒に強いと思っていたが、違うようだ。
それとも、何かスイッチがあるのか。

黒崎が何も言えずにいると、一条は黒崎の肩に手を置き、顔を近づけた。
その頬は綺麗な赤色だ。
ふと見れば、一条はゆるく勃起している事に気付いた。
「好きです。黒崎様」
利用する為に身を汚そうとしているのだと思っていたが、本気なのかもしれない。
やはりそういう趣味が元々あるのか。
もしくは、男との経験があるのか。
いや、あったなら、もう少し上手く誘えるだろう。

吐き出しそうになったため息を押し込め、黒崎は哀れにアピールをする一条の頬を撫でた。
それだけだが、待ち望んだ黒崎からの愛撫に、一条の身体はビクリと震える。
「あ…う…黒崎様……」
熱のある息を吐き出し、一条は黒崎の名を呼ぶ。
ここまで健気に誘われると、無下に断るのも可哀想に思えてくる。

キス。か。
全て与えるつもりは無いが、ここで繋ぎ止めておけば色々と利用出来るかもしれない。
何より、彼は今のカジノの店長よりかは頭が良い。
学歴は高卒止まりらしいが、それはこの帝愛ではそれほどの重りにはなるまい。
大卒の間違ったプライドの持ち主よりかは、高卒でも正しいプライドを立てられる奴の方が生き残る。
そんな組織だ。

一条の潤んだ瞳を見詰め直し、髪をかき揚げる。
女のように白い一条の喉が、ゴクリと鳴った。
「下さい…。黒崎様」
熱に浮かされた表情で言う一条には、少し色気が出てきたか。
肩を抱き寄せ、黒崎は一条の唇に自らの唇を重ねた。

「んっ……」
その柔らかな唇を割り、一条の口内へと舌を滑り込ませる。
一条の腕が黒崎の背中へ回り、苦しそうに指がスーツを撫でた。
黒崎の舌が一条の舌に絡み、好きなだけその口内を貪る。
舌が動く度に唾液が音を立て、それが一条の脳を犯していった。
「あっ…んん…」
艶のある息を漏らし、一条は下半身を黒崎に擦り寄せる。
それを確認して、黒崎は更に深く一条を抱いた。

「んあっ…〜〜ッ!」
「ん?」
ビクンと一条の身体が大きく震え、ボロボロと瞳から涙が零れる。
「あ…くろひゃ…う…」
息を酷く乱し、一条は黒崎のスーツを強く掴んだ。
「おや、一条。キスだけでイってしまったのかな?」
唾液で汚れた顎を引き、じっくり一条の顔を確認する。
綺麗な顔が、情けなく淫らに汚れた様は、少し見ていて気持ちが良い。
成る程、会長が虐める訳だ。
ただ嫌いならば、さっさと捨ててしまえと思っていたが。

「申し訳…ありませ…ん」
一条は、太股のスーツを軽く握る。
「黒崎様と、キスが出来て…嬉しくて…」
顎を持った黒崎の腕に、一条は指を絡めた。
「ここが気持ち悪いのか?」
もじもじと動かしている太股を見て、黒崎は一条の股間を軽く触る。
「あうっ…はい…気持ち悪いです。脱がせて下さ…」
一条が言い終わる前に、黒崎はソファを立ち上がった。
「黒崎様?」
不思議そうに一条が黒崎を見上げると、黒崎は冷たい笑みを返した。
「気持ちが悪いのなら、洗い流してきなさい」

囁くような優しい口調で黒崎は告げると、一条の肩をポンポンと叩く。
「私ももう休むからな。君も体を綺麗にしたら早く寝なさい」
「え…あ…」
言葉の出ない一条を後目に、黒崎はさっさと部屋を後にした。

餌は満足するまで与えてはいけない。
彼方が求めているなら尚のこと。
飼い慣らすには、コツがいるのだ。

自分の汚れきった頭に苦笑し、黒崎はネクタイを解く。
あれほど強く求められたのは久しぶりだったが、言ってしまえば扱いやすい。
使ってやるのも良いかもしれんな。

黒崎はバスローブに着替えると、ベッドに横たわり、眠りに着いた。





翌朝、目を覚ました黒崎は、自らの傍らで控えめに眠る一条に気付いた。
その目元は少し赤くなっており、頬にも涙の跡が見受けられる。
まさかの行動に、呆れてため息が出た。
それに気付いて目を覚ました一条は、暫くぼんやりと黒崎を眺めた後、頬を赤らめて自分のバスローブの乱れを直した。

「おはようございます。黒崎様」
此方を伺うように喋る一条は、人が見ればいじらしいとでも言うだろうか。
「おはよう」
言うと同時に一条の肩を掴み、ベッドに押し倒した。
「えっ…あの…」
藻掻くように動かす足を体で押さえ付け、首に軽く歯を立てる。
その刺激にぴくんと一条の体は跳ね、黒崎のバスローブを掴んだ。
だが、黒崎は首に跡が残った事を確認すると、またさっさと離れてしまう。

「それで少しは張りも出るだろう」
シャツの襟で隠れるか隠れないかの位置に付けられた赤い跡。
指で触っても分からないが、一条は消えた黒崎の温もりを求めて首に手を伸ばす。
「私は先に出るから、君は好きな時に帰りなさい」
冷静な声で黒崎は伝え、スーツに着替えると部屋を出て行ってしまう。

残された一条は、再び乱れたバスローブを整え、枕を掴んだ。
「よし。よし。良し!」
口元が綻び、自然と笑みが溢れる。

あんな男の事はどうでもいい。
抱かれなかったのはラッキーだ。
どうやらあの男は、思わせ振りな態度で俺を飼い殺しにでもする気らしいが、好都合だ。
俺からすれば、上へ這い上がるきっかけでしか無い。
今の状態では、カジノの従業員としてコキ使われるのが関の山だ。
だが、多少強引でも幹部の視界に入れば、後はどうとでも出来る。

媚びていると思われようが関係ない。
媚びる事も出来ない奴に、遅れを取ってたまるものか。


一条はバスローブを脱ぎ捨て、赤い跡が見えるようにシャツを着た。







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