管理人の腐った頭にご注意下さい。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 ひたすら一条を性的に虐めたら、可哀想な事になった。 前半、和也(+村上)に一条が虐められる。 後半、パニックを起こした一条の被害妄想(黒一)。 といった内容になっております。 そのせいか、後半につれて文章が崩壊していきます。 今回の黒崎はひたすら一条に優しいですが、それも道具の手入れに過ぎないと思うと、更に一条さんが可哀想になりますね。 そういえば、もうすぐカウンターが2000です。早いですね。 もしも2000を踏まれた方がいらっしゃいましたら、リクエストを承りますよ!^ω^ 王様の命令 一 ある時、フラりと和也坊っちゃんがカジノにやって来た。 噂には聞いていたが、成る程よく似ている。 目鼻立ちもそっくりだが、何よりその顔に浮かべた気味の悪い笑顔がよくもまぁ、ここまで似るものだ。 傍らに居るのは黒服ではなく、重そうなトランクを持たされた若い女達だが。 早々と出迎えると、品定めでもするようなネットリとした視線を向けてくる。 いよいよ俺も、二代に渡って王様に虐められるらしい。 最早そういう遺伝子にでもなっているんじゃなかろうか。 それでも笑顔を絶やさずに見返していると、和也は喉を鳴らして笑った。 「確かに、アンタ顔は良いな。嫌われる訳だ」 どうやら会長の事を言っているらしい。 「けど、同時に気に入ってもいるみたいだから来てみたが…」 気に入っている?どこが? 精々、俺の苦しんでる顔が、とかだろう。 「よく分かったよ」 一人で楽しそうに笑うと、和也はカジノを見渡した。 「俺も少し遊んで行こうかな」 和也の呟いた言葉に、ため息が出そうになる。 突然の接待ほど、面倒な事は無い。 酒を飲ませて良い気持ちにさせるような、普通の接待ならばまだ良い。 だがギャンブルでは、勝たせるだけでなく適度に負かせ、あたかも自分の力で勝っているように思わせなければ意味が無い。 それを行うには、それなりに経験のあるベテランスタッフが必要だ。 ところが、今日はイマイチ経験の浅いヤツしか居ない。 そのバランスを上手く取れるか…。 「オススメは?」 和也が楽しげに聞いてくる。 この男はどうやら、こうして従業員を困らせて遊んでいるようだ。 だが、こちらとしては好都合。 「ポーカーか、ブラックジャックはいかがでしょうか」 スロットやパチンコのような、設定に全く手の出せないモノよりか、ディーラーの居るモノの方がマシだ。 「ふぅん。沼は勧めないんだ」 沼を打つ? 負けるに決まってるモノを、接待中に打たせられるものか。 「ご勘弁下さい。アレを簡単に出されては困りますから」 見え透いたお世辞をサラリと言ってやれば、和也は鼻で笑う。 そして、ブラックジャックのテーブルに座った。 途端にそのテーブルのディーラーが、泣きそうな顔で此方を見る。 最悪な事に、一番ディーラーを始めて日が浅い男だった。 二度目のため息を噛み殺し、ディーラーの肩を叩く。 このテーブルに、他の客が居なくて本当に良かった。 「お前は、和也坊っちゃんに何か飲み物を用意してくれ。俺がやる」 そう言ってその男を逃がし、和也の前に立った。 「おっ!アンタがディーラーやってくれるんだ」 嬉しそうに言う和也の姿に、一応安心する。 「えぇ。他のお客様もいらっしゃいませんし、私と二人だけの勝負になりますが」 まぁ、だからこそのブラックジャックだとは思うが。 「ならさぁ」 テーブルに肘を付き、和也は会長に似た笑顔を浮かべる。 嫌な事を考えている時は、同じ顔をするのだな。 「この勝負に俺が勝ったら、アンタの事好きにして良い?」 そう言って俺を見る目は、酷く歪んだ光を放っていた。 「お手柔らかに、お願いします」 否定も肯定もせず微笑む。 すると和也は、また楽しげに笑った。 若い女達が和也に追い出され、トランクだけが和也の足元に残る。 何を思ったのかお茶を運んで来た従業員にも、和也は意外と愛想よく受け取った。 俺がトランプを切っていると、遠くで心配そうにしている村上が見えた。 どうせ負ける接待ギャンブルだ。 今更どうイビられようと、さほど辛いとは思えない。 多少の事なら、和也が店に来た時点で覚悟済みだ。 「では、始めましょうか」 和也に二枚のトランプを渡した。 二 結果を言ってしまえば、予定通り俺の負け。 最初は勝ちを少なめに、最後の方で逆転…なんて王道なストーリーは、何度も経験しているだろう。 最早そんなモノは、面白みも何もない事だろう。 だからと言って、その逆の最初は勝ちを多めにし、最後で逆転されそうになりながらもそれを許さず勝つ。 もしくは、ずっと一進一退で最後に勝つ。 なんてストーリーも、何度か経験していそうだ。 大体、最後は必ず勝つような、作り話めいた流れは慣れているだろう。 誰も、あの会長の息子を不機嫌にさせる事などしたくないだろうからな。 そこまで考えて、一つ賭けに出てみた。 和也が大きく掛ければ負かせ、小さく掛ければ勝たせてみる。 時々大きく張った時に勝たせたり、小さく張った時に負かす。 結果、勝った数の方が多いが、資金としては若干のマイナス。 勝負だけを見れば勝ちだが、ギャンブルでは負けというトコロだ。 こんなやり方は接待ではなく、せいぜい普通の客にやる手法だが。 和也はその結果に満足しているようだった。 「13勝7敗で300のマイナスか…微妙なところだな。上手いね。アンタ」 「ありがとうございます」 和也に微笑みかけながら、トランプを回収して整える。 次にチップに手を伸ばした時、和也の手が俺の手首を掴んだ。 「あの…?」 和也と目を合わせれば、和也はそのまま俺の身体を引き寄せる。 「まぁマイナスではあるけど、勝ち越したのは事実だろ?付き合ってくれよ」 この親子には、目眩がする。 「それを貴方が本当に勝ちと思われるのでしたら」 嫌そうな素振りは出さないように、遠回しに拒否をした。 だが、和也はクスクスと笑って手を離す。 「なら、もう一勝負するか?」 勘弁してくれ。 今度のため息は、耐えずに吐き出した。 「仕事が終わるまで、待って頂けますか?」 俺が言えば、和也は満足そうに頷いた。 三 「いやぁ、ホントにアンタの顔ムカつくわ。生理的に」 仕事が終わり、店長室に和也を迎えいれた途端に言われる。 「私にとっても、この顔は一つの重りですよ。醜い顔に生まれたいとは思いませんが、人並みの方が生きやすいのは事実ですから」 嫌味っぽかっただろうか。 言ってから思う。 トランクをソファの横に置いた和也は、玩具でも見るような目で俺を見た。 少なくとも、同じ人間とは思われていない。 手招きされて近付くと、和也は舐めるように俺の身体を眺める。 だから嫌なのだ。この顔は。 「なぁ。いいもんやるからケツ出せよ」 そう言った和也は、カバンからそれなりの大きさがあるバイブを取り出した。 でも、分かっていた。初めから。 「…その太さは、女性用に思われますが」 肛門に入れるタイプは、もう少し細いハズだ。 「ん?あぁ、元々は女に使おうと思ってたからな。でも頑張れば入るだろう?」 頑張るのは一体誰だと言うのか。 それ以上は和也は何も言わない。 仕方なく、和也に見られながらスラックスに手を掛けた。 シワにならぬ様に脱いだスラックスは椅子に掛け、下着に手を伸ばす。 ジャケットを脱ぐのは制止され、下だけ何も履いていないという、何ともアンバランスな恰好となった。 そのまま次の言葉を待つと、和也はそっと俺の腿に触れる。 それだけで、吐き気がする程気持ちが悪かった。 「良い肌してんじゃん。金使ってんの?男なのに。自分の役割、良く分かってんだ」 継ぎはぎみたいな言葉は、全て皮肉にしか聞こえない。 「ほら、膝ついて尻出せよ」 和也はゼリーの入ったチューブを弄びながら言う。 素直に従い尻を向ければ、肛門に風が触れて少し不安になる。 そこにゼリーを載せた和也の指が触れ、塗り付けるように動く。 肛門の周りを撫でる指が不快で、不意に挿れられれば、その僅かな排泄感と痛みに眉を寄せた。 「意外と締まってるな」 「うっ…!」 グイグイと指で入り口を広げられ、その苦しさに声が漏れる。 「もしかして、使った事ない訳じゃないよな?」 こんなトコロ、使う事があるものか。 いつの間にか増やされた指を感じながら、何とか口を開く。 「ぅあっ…まだ…そこは……っ!」 息が苦しくて、それ以上続かない。 大体、素直に答えたトコロで、和也を面白がらせるくらいしか出来ない。 「さぁて、入るかな」 バイブの先が、尻に触れる。 こちらもゼリーが塗られているようで、嫌な感覚がした。 「よいしょっ!」 「ひぎっ…!」 ゼリーの滑りを借りて、バイブの先が肛門を抉じ開ける。 裂けるような痛みと、直腸から圧迫される苦しさに、自然と涙が溢れた。 「っ……ハッ…ぅ…!」 息をするのもままならず、手の平に爪を立てる。 その様を嘲笑うように捩じ込まれるバイブが、腸を抉るように思えた。 「ぃた…痛いっ…痛いぃぃ!」 溢れる唾液も構わず喚くと、和也の手が止まる。 そして、バイブをゆっくりと抜き始めた。 「あっやだっ…ぁううっ!」 途端に感じる排泄するような感覚に、徐々に思考が麻痺を起こす。 「もぅ…やだぁ…っ」 膝に力が入らない。 一旦入り口近くまで抜かれたバイブは、締まりの緩くなった腸を勢い良く抉った。 「あぁあぁぁっ!」 絞り出すように声を上げれば、和也の手の平が俺のペニスに触れる。 「初めてにしては上出来じゃん」 和也がそう呟きながら撫でる俺のペニスは、あの苦しさの中でも緩く勃ち始めていた。 それを目で確認すると、腸がキュウキュウとバイブを締めつける。 「なん…で…」 信じられずに俺が言うと、和也は俺の髪を掴んだ。 「アンタはそういう奴なんだよ」 耳元で、冷たく囁かれる。 「ケツ穴を男に弄られて感じるような、そんな浅ましい男なんだよ。一条サンは」 僅かにバイブが引っ張られる感覚の後、キリキリと何かが動く音が聞こえた。 「はっ…あぁ!」 腰に広がる衝撃に、身体が大きく震える。 ついに動き出したのだ。 今思えば凶悪な太さであった、あのバイブが。 「や…あっ…ひぐっ」 上手く息を逃がせない。 それでも、確かに感じ始めていた甘い痺れが、腰に広がっていくのを感じる。 「かずっ…和也様!」 堪らず、なんとか声を上げた。 「お願い…します。口で…口でならいくらでも奉仕致します…!ですから、もう…!」 口に他人のペニスをくわえ込むなど、絶対にしたくなかった。 でも、このままでいたら気が狂いそうだ。 掠れた声で必死に懇願する俺を見て、和也は目を細めた。 「いや、俺アンタじゃ勃たないから」 その言葉は、本当に俺を玩具としてしか見ていない。 そういう意味でもあった。 この行為は、俺を苦しめて遊ぶだけの行為でしか無い。 言ってしまえば、これがバイブで無くとも構わないのだ。 数人で殴るリンチでも、指を折るでも良い。 要は、他人の苦しむ姿が見れれば良いのだから。 「あ…う……」 声にならない。 そうだ。分かっていた事だ。 この男にとって、俺は人間じゃない事くらい。 頬に涙が伝う。 それがまた無様で、更には和也を喜ばせているようで耐え難い。 それでも痺れ続ける身体に、頭を降った。 「ぃやだ…っん」 和也の指が顔に伸び、口内をまさぐる。 親指が舌を捕らえると、口の端から唾液が零れた。 「ふぁ……」 「でもさぁ、そんなにチンコくわえたいなら、入れてやるよ。俺のじゃないけど」 和也はそう言うと、クスクスと笑い出す。 「そろそろかな」 和也の視線を追ってドアを見れば、そこには見馴れた男が立っていた。 四 「おいでよ。村上…だっけ」 一人だけ楽しげに、和也が呼ぶ。 村上の視線は真っ直ぐ俺を向き、口は薄く空いている。 見られている。この失態を。あの男に。 下だけを脱ぎ捨て、和也にバイブを入れられ、浅ましくも興奮してしまっているこの姿を。 村上はゆっくりとドアを閉め、フラフラと近付いてくる。 その表情は信じられないと言った様子で、呆然と俺を見た。 「アンタ、これに興奮してんだろ?だったら丁度良い。食べさせてやれよ」 和也が軽い声で村上に言う。 それは半分以上、命令であった。 一瞬村上は顔を歪めたが、ズボンのファスナーを下げ、ゆるく勃ったペニスを取り出す。 そして俺の前に立つと、今までに見た事の無い顔で俺を見た。 「店長…」 熱のこもった声で呟くと和也が口から手を抜き、代わりに村上のペニスが口内に入り込んだ。 途端に独特の生臭さを感じて後ろに下がろうとするが、後ろにいる和也がそれを許さない。 「んぐっ…うぅ…!」 口を塞がれた苦しさと、嫌な苦味と甘味が広がり、涙が止まらない。 「ほら、いくらでも奉仕するんだろ?してやれよ」 「ふぅうっ」 和也が尻を叩き、バイブの振動が腰に響く。 もう一度村上を目だけで見上げると、村上の口元が微かに笑っているのが見えた。 「早くやらないと可哀想じゃん。それとも、フェラよりイマラチオの方が良いの?」 和也の手が俺の髪を掴み、前に押しやる。 「ぉえっ…!」 喉の奥まで差し込まれるペニスにえずく。 思わず村上のスーツを掴み、顔を上げた。 「やれます…からぁ…っ」 掠れた声で言えば、和也は頭から手を離す。 「じゃあ早くやれよ。村上が辛そうだろ?」 ニヤニヤと、嫌な笑みを浮かべて和也が言う。 それを確認すると、俺は村上のペニスに手を伸ばした。 反り返ったペニスは確かな硬さを持ち、睾丸の方からビクビクと脈打っている。 黒く変色し、剥けきっているそれは酷くグロテスクで、近付けばツンと鼻を通る臭いに顔をしかめた。 それでも、濡れたペニスの先端に舌を這わせて舐め上げる。 「ぅおっ…店長…!イイです!」 ペニスを持ち上げて裏筋を舐めていくと、陰毛が鼻に触れた。 フェラなんかした事が無いから勝手が分からない。 ペニスをくわえ込んで舌の腹で舐めてみると、先走りの液が溢れてきた。 苦い。臭い。気持ち悪い! 気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い! 違う。こんなのは違う。こんなの俺じゃない! 「うぅっ…!」 ボロボロと涙が流れ、それでも舌を動かす。 不意に感じる甘い痺れは、尚も身体が快楽を感じている事を意味した。 「あっ…出ます!」 村上が、苦しそうに声を上げる。 それにびっくりして村上のペニスを口内で圧迫すると、口内に独特な味が広がった。 勢い良く飛び出されたその精液は、喉に当たって食道を流れ落ちる。 口を開くと、唾液で汚れたペニスがズルりと出てきた。 きたない。くるしい。はやくださなきゃ。 「おえっ…おぇええ…っ!」 吐き気が込み上げ、その場で胃液の混ざった精液を吐き出す。 それはびちゃびちゃと汚ならしい音を立て、床に広がった。 なんでおれが。どうしておれだけが。 こんなつらいおもいをしなきゃいけないの? 「うぇえ…あ…うぁあああ」 しゃっくりをしながら泣き声を上げると、二人が俺を見下ろす。 「店長…あの…申し訳ありませ…」 「何泣いてんの?」 和也が笑いながら呟き、また俺の尻を叩いた。 その瞬間、頭の中で何かがブツリと切れる音がした。 その場にぺたりと座り込み、呆然と二人を見上げる。 こわい、こわい、こわい。 もういやだ。帰りたい。 尻を床に着けようとすれば、ガタガタと音を立てて、腹に入れられたままのバイブが震える。 そうして更に深く入り込んだバイブは、新しいトコロを揺らし始めた。 「あぅ…やだもう…」 前立腺を抉るバイブが、強い快楽を頭に伝える。 「たすけてよぉ…」 上がる熱に浮かされ、内腿を擦り付ける。 村上のスーツと和也のズボンを握って揺らした。 もうだしたい。もうイきたい。 楽になりたい。助けてよ。 「離せよ」 冷たく呟き、和也の足が俺を蹴る。 そのまま何度も蹴りつけられ、吐瀉物で汚れた床に倒れ込む。 そして無理矢理尻を持ち上げられた。 「たくよぉ…」 和也はポケットからローターを取り出す。 そのローターのスイッチを入れて振動を確認すると、和也はローターを俺のペニスに押し当てた。 「ひぁああああっ!」 既に硬くなっていたペニスをローターが刺激し、バイブの快感までもが強まる。 「あっ…ひっ…イっちゃ……」 唾液を飛ばしながら身悶えると、和也は乱暴にローターの位置を動かした。 「あふぁあああ…っ!」 目の前が真っ白に弾け、身体から力が抜ける。 強い快感が頭の先まで貫き、ペニスから精液が吹き出した。 その精液は床に飛び散り、吐瀉物と混ざる。 「ふぇ…」 ローターがペニスから離れ、バイブのスイッチが切られた。 それと同時に、下半身に違和感を感じる。 射精とは違った、尿道を伝う感覚。 「あぅ…だめぇ……」 「はぁ?」 バイブに手を伸ばしていた和也は、俺の言葉に首を傾げる。 だが、次に聞こえた音で和也は目を見開いた。 「オイオイ。おもらしかよ」 ペニスの先から、細く尿が流れ落ちる。 力の抜けきった身体ではソレを止める事が出来ず、ふやけた頭では止めようとまで思い至らない。 ただ、じょろじょろと水音を立てながら床を汚す尿を、足の間から眺めていた。 きもちい…。 目の前が白くなり、そのまま消えた。 五 目を覚まして初めに見えたのは、青くなった村上の顔だった。 床の汚れは掃除され、服も下は元々着ていたスーツを着せられている。 色々な体液で汚れたジャケットとワイシャツはビニール袋で包まれ、代わりに夜勤用に用意していたモノに着替えさせられていた。 「大丈夫ですか?店長」 伸ばされた村上の手を咄嗟に避けると、村上は顔を歪める。 「…申し訳ごさいません…俺には、心配する権利などありませんよね」 申し訳なさそうに言う村上の顔に、あの時の薄く笑った顔が被って気持ちが悪い。 「この服は…お前が?」 目を伏せたまま聞く。 「ハイ。あのままではあまりにも…失礼とは思いましたが、身体も拭かせて頂きました」 村上が、俺の身体を拭いた? そのことへの嫌悪感に、吐き気がする。 「和也坊っちゃんは?」 吐き気を堪えながら聞けば、村上は一度口ごもる。 「それが…和也坊っちゃんはもう帰られたのですが、その…一言」 歯切れ悪く続けた後、俺の様子を伺うように切る。 「また遊びに来る…と、仰っていました」 目眩がして、ソファの背もたれに頭を置く。 また遊びに来る。 また、アレをされる。 人としての矜恃さえ踏み潰され、抗う事も許されない。 あんな時間がまた…。 「店長…?」 不思議そうに、村上が呼ぶ。 その声に、あの時の恐怖が身体を貫いた。 「出ていけ!この部屋から…!」 村上の肩を突飛ばし、力いっぱいに喚く。 もう村上の声なんか聞きたくない。 村上の顔なんか見たくない。 ソファの上で丸まり、部屋を出ていく村上の音を聞く。 それでも、ガタガタと身体が震えて止まらない。 混乱した思考の中で掴んだのは受話器で、そのまま何も考えずに番号を押した。 電子音が暫く流れ、それがまるで暗闇の中を歩いているようで、涙が溢れた。 「―――…どうした。」 漸く聞こえた声。 混乱と安心で、上手く声が出ない。 それでも泣いている事は伝わったのか、ため息が聞こえてきた。 「何かあったのか?泣いていては分からん。電話を掛けてきたなら、説明しなさい」 冷たいようで、気遣っている喋り方。 それにまた安心して、受話器にすがり付いた。 「黒崎…様…黒崎様ぁ…!」 説明しなきゃいけないのに、上手く喋れない。 本当はこの程度の事で、黒崎様に電話なんかしたら迷惑なのに。 …そうだ。 黒崎様の手を煩わせるような事じゃない。 心配を掛けてしまう。 困らせてしまう。 俺なんかのせいで。 「一条…」 これ以上、困らせてはいけない。 少しずつ冷静に成り始め、受話器を握り締めた。 「申し訳…ありませっ…もう、大丈夫ですので…大した事では……」 「一条」 静かだが良く通る声が、俺の言葉を遮る。 あぁ、怒らせてしまった。 俺がこんな小さな事で電話なんかしたから。 きっと今の時間、お休みになっていたんだ。 それなのに、こんな面倒でしかない電話をしたから。 どうしよう。 黒崎様に見捨てられたら、どうやって生きて行けば良いんだろう。 俺がこんなに弱い事が分かってしまったら、きっと黒崎様は俺なんかいらないって…。 「落ち着きなさい。一条。今迎えを送るから、私の家に来なさい。お前はカジノに居るのかな?」 いやだ。捨てないで。見限らないで。 「あの…大丈夫です!俺、ちゃんと店長もやって…和也坊っちゃんの相手だって出来ますから…」 「和也坊っちゃん…?あぁ、そういう事か」 あぁ、墓穴を掘った。 違う。どうしよう。俺が全部悪いんだ。 俺がこんなに弱いから。 「あ…う…私は…」 手の平から、受話器が滑り落ちる。 「一条。いいから一旦私の家に来なさい。迎えは送ったからな」 落ちた受話器から、黒崎様の声が聞こえる。 もう、駄目だ。 六 店長室まで迎えに来た黒服に連れられ、光沢のある黒い車に乗せられた。 店長室に居る間、受話器からは黒崎様の声が聞こえていたが、何を言っているのか分からなかった。 でも、きっと俺の事を怒っていたのだ。 黒崎様のお宅に着くと、立とうとしない俺を黒服が運び出す。 客間まで運ばれるように入ると、そこには既に黒崎様が居た。 俺の姿を一目見ると、黒崎様は眉を寄せる。 きっと、こんな汚ならしい俺の姿に幻滅したのだ。 ずっと、黒崎様の前では美しく居ようと努めていたから。 あぁ、もう俺は捨てられるんだ。 黒崎様は厳格な方だから、他人に任せず自らの口で伝える為に、俺をここに呼んだんだ。 そう思うと、黒服に支えられてやっと立っていた足から力が抜けた。 そのままそこに座り込むと、黒崎様が近付いてくる。 俺の目の前に立ち、黒服を部屋の外に出した。 「一条、何を怯えている」 黒崎様が冷たく俺を見下ろす。 捨てられたら、一体どうしよう。 きっと店長のままでは居られない。 「和也坊っちゃんと何があった?何も言わなければ分からんだろう」 「私は…大丈夫です…やれます…」 すがるように黒崎様を見上げる。 だが、疲れたように黒崎様はため息を吐き出した。 「詳しい事を説明しなさいと言っているのだ。分かるな?」 近くのソファにもたれ、黒崎様は腕を組む。 詳しい…事。 「…今日、和也坊っちゃんが、カジノにいらっしゃいました。それで、遊んで行かれると言うので、私がディーラーを勤めてブラックジャックをしました」 震える声で、説明を始める。 「勝負が付いた後、店長室に和也坊っちゃんを通しました。それで和也坊っちゃんがバイブレータを取り出して、それで…」 喉が苦しい。 これ以上話したら、黒崎様は俺を嫌いになる。 だって、俺はもう綺麗じゃないから。 「それで…私のココに…それを…それで、村上が……」 舌が回らない。説明が出来ない。 こわい。たすけて。 腕を前で交差し、自分の身体を抱き締める。 このまま俺は、壊れていくんだ。 七 「一条」 黒崎様が俺の名前を呼ぶ。 喉が圧迫されたように苦しくて、返事が出来ない。 息をするのが精一杯で、涙が滲んだ。 「落ち着きなさい。もう終わった事だ」 黒崎様の手の平が、俺の髪を撫でる。 そのまま滑り、涙の跡で汚れた頬を包み込んだ。 温かくて、辛くなる。 「ですが…私は……」 感じてしまったのです。 確かに、快感を。 絶頂まで上りつめ、小便まで漏らした。 浅ましく、卑しい身体なのです。 黒崎様の手を押し返した。 触れて貰う資格なんか無い。 捨てるなら、無理に優しくなんてしないで。 黒崎様が、またため息を吐き出した。 あぁ、もう終わった。見限られた。捨てられた。嫌われた。 俺が弱いから。汚れたから。電話なんてしたから。困らせたから。 駄目だ、もう。 あぁそうだ。どうせ黒崎様に捨てられるなら、どこか遠いトコロに行こう。 そして死のう。一人で。ひっそりと。 そうすればきっと、黒崎様にだって迷惑はかからない。そうしよう。 不意に身体が引かれ、温かな温度に包まれる。 それが黒崎様に抱き締められたからだと理解したのは、数秒後だった。 「黒崎…さま」 頭が、再び混乱する。 どうして、こんな事をするの? 「冷静になりなさい」 ポンポンと背中を叩き、黒崎様は俺の身体から離れる。 「お前は良くやった。和也坊っちゃんの事は私に任せなさい」 今までで一番優しい声で、黒崎様は俺に言う。 「お前の仕事はなんだ?」 手の平が、俺の頬を拭う。 「カジノの…店長としての業務です…」 俺が答えれば、黒崎様は満足そうに笑った。 「なら、それだけをしていなさい。大丈夫。お前は美しいんだ」 そう言って、黒崎様は俺の頭を撫でた。 「良いの…ですか?」 視界が滲む。 黒崎様を、見ていたいのに。 「あぁ。無理はせんよう頑張りなさい」 捨てないでくれた。こんな俺を。 美しいって、頑張れって仰って下さった。 ボロボロと涙が流れる。 そんな俺を黒崎様は抱き寄せ、ソファまで連れていく。 ソファでもしっかりと肩を抱き、泣きじゃくる俺をずっと見守って下さった。 「酒は飲めるか?」 少し落ち着き、涙が止まった俺に黒崎様が聞く。 まだ声が出せず、首を横に振った。 「少しでも、飲んだ方が良いかもしれんぞ」 濡れた睫毛に黒崎様の指が触れる。 「黒崎様が飲めと仰るなら…」 「そういうモノでは無いだろう」 苦笑しながら、黒崎様はテーブルに置いてあったウィスキーに手を伸ばす。 本当は俺がやらなきゃいけないのに、黒崎様から離れられない。 少しでも手を離したら、また泣いてしまいそうで。 「どうだ?飲めるか」 ウィスキーの入ったグラスが差し出される。 「申し訳ありません…」 片手でグラスを受け取り、口を付けた。 ウィスキーの苦味が強調されて脳に伝わり、気分が悪くなる。 「……飲めません」 「そうか。無理はいかんな」 黒崎様がグラスを回収し、残りのウィスキーを口に含んだ。 黒崎様の肩に頭を預け、目を閉じる。 喉の鳴る音がして、また安心する。 黒崎様が俺をまだ見捨てないで下さるなら、頑張れと仰って下さるなら、俺はまだやれる。 「黒崎様…」 腕を絡めて、黒崎様に肌を寄せた。 迷惑だろうに、面倒だろうに、黒崎様は俺の髪を撫でてくれる。 伸ばされた手の平に頬を寄せ、唇を付けた。 八 店長に、とんでもない事をしてしまった。 あんなのはただのレイプだ。 和也坊っちゃんに強要された? 違う。俺の意思だ。 辞表を出そう。 このまま俺が働いて良いハズが無い。 店長が俺に死ねと言うなら、死んででも償おう。 早めに沼の調整を済ませ、店長室へ向かう。 電話は無いが、今日も店長は出勤しているだろうか。 無断欠勤しても無理はない。 昨日は何故か黒服に連れて行かれたが、何だったのだろう。 とりあえず、ダメ元でノックする。 「入れ」 店長の声。出勤したのか。 ドアを開けて店長室に入ると、店長はいつも通りソファに座って書類を見ていた。 「あの…店長…」 俺が声をかけると、店長は俺を見る。 「沼の調整は終わったのか?」 昨日の錯乱した時の声とはまるで違う、元々の綺麗な声だ。 「ハイ。終わりました」 胸ポケットに手を伸ばし、書いて置いた辞表を掴む。 「店長。昨日は、本当に申し訳ありませんでした!」 頭を下げ、はっきりと言った。 謝って許される事じゃない。 それは分かっている。 「お願いします」 辞表を店長に差し出した。 「村上…顔を上げろ」 店長は俺の手から辞表を取る。 顔を上げて店長を見ると、冷めた目で辞表を見ていた。 「いらないんだよ。こんなモン」 そう呟き、おもむろに店長は辞表を破いた。 ビリビリと音を立て、辞表はただの紙くずになる。 「もう二度とするな」 強く、店長の瞳が俺を見た。 俺がやっとの事で返事をすれば、店長は柔らかく笑う。 昨日の朝と何ら変わらぬ笑顔で。 「…まだ客も来てない事だし、コーヒーでも飲むか。喜べ、黒崎様が良い豆を下さったんだ」 嬉々として、店長は豆を挽き始める。 強いなんてモンじゃない。 どうして、つい昨日レイプしてきた男に対して、そんな笑顔が見せられるんだ。 どうして、何もなかったかの様に振る舞えるんだ。 その笑顔が恐ろしく、背中がゾクゾクする。 ずっと完璧だと思っていたこの人の内側には、一体どれだけの傷を隠しているのだろう。 人格さえ崩壊しかねない傷を抱え、これほどまでに完璧を装う事が出来るなら、きっと俺は店長に何かあっても分からない。 自分一人で抱え込み、それを表に決して出さない。 どうすれば、そんな事が出来ると言うのか。 「どうした村上。座れよ」 何故彼は、それほどまでに頑張れるのだろう。 PR |
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